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事業紹介
天然ガス有効活用
天然ガス有効利用研究プロジェクトチームの概要
Outline of Research Project Team for Emerging Gas Technologies
 

本チームは、天然ガスの輸送・貯蔵・液化・利用技術に関する技術開発を担当しています。

天然ガスは、化石燃料の中では、クリーンで、燃焼時のCO2排出量も少ないこと、埋蔵量も石油に比べて大きく・賦存の偏在性もより小さいことから、環境問題・エネルギー安定供給の視点から、利用促進が求められているエネルギーです。しかしながら、天然ガスはガス体エネルギーであることから、単位体積当りのエネルギー密度が低く、天然ガス開発手段としてはパイプラインとLNGに限られ、石油に比べて、開発作業以降の輸送・貯蔵・液化・利用に関わる投資が大きいため、開発が限定されるという問題点がありました。
本チームは、このように、開発手段が限定されている天然ガスの開発手段を拡大し、天然ガス田開発の可能性を広げるための、研究開発を実施しています。
平成16年度は、「天然ガスの液体燃料化(GTL)技術」、「天然ガスハイドレート輸送技術(NGH chain)」、「DME利用技術」等に関わる研究開発を実施しました。

GTL: Gas To Liquids
NGH: Natural Gas Hydrates
DME: Dimethyl Ether

 
 
天然ガスの利用拡大のために
−ガスの有効利用技術への取り組みと今後の展開−
 
 

(1) 特別研究「天然ガスの液体燃料化(GTL)技術」(平成13〜16年度)

日本市場に近く、主要なガス供給地域である東南アジア・オセアニアには、既発見・未開発の中規模程度ガス田(可採埋蔵量3[Tcf]以下)が全体数の約40[%]を占めるといわれます。それらの開発を促進するための有効な手段として天然ガスの間接法による液体燃料化(GTL)技術を開発していきます。最終製品としては、灯・軽油を中心とした液体燃料を対象とします。

A・ATGパイロットプラント
 

 平成14〜15年度にこれまで開発してきた天然ガスから二酸化炭素・水蒸気改質法により合成ガス(COとH2の混合ガス)を製造する触媒の性能評価試験、合成ガスから液体燃料を合成するFT触媒の性能評価試験、および商用プラントのスケールアップに必要なエンジニアリングデータの取得を日産量10バーレル規模のパイロットプラント(北海道苫小牧市石油資源開発(株)勇払鉱場の隣接地)にて行いました。
 平成14年11月22日に、国産初の天然ガスからのGTL油生産に成功し、平成15年にはFT合成部は高生産効率(1,325 g/kg-cat・h)、プラント公称能力7BPSDを達成しました。最終的には、合成ガス製造部は累計6,600時間の時間にわたる安定的な合成ガス製造を発揮しました。

 GTL商品化に関しては、製品製造の基礎技術を確立し、また、触媒種・パイロットプラントでの反応条件の違いによる、生成油の質的・量的傾向および性状を把握しました。解体研究においては、材料選定に問題がなかったことを確認。経済性検討においては、ラボ・パイロットプラントの結果に基づき、再検討を行いました。
ラボでのコンセプトがパイロットプラントにて技術的・経済的に成立することが確認され、国産GTL技術による実証プラント・商業プラントへの下地が整備された結果となっております。


(2) 国際研究協力業務

1) インドネシアにおける公団GTL技術の適用性に関するフィージビリティ・スタディ(プルタミナとの共同スタディ)(平成13〜16年度)
  開発中の公団GTL技術をインドネシア国内のプルタミナが権益を保有する陸上ガス田に適用した場合の経済性を評価するために、プルタミナとの共同スタディを平成13年12月より開始し、これまでの成果としては、選定した2つの対象ガス構造に対して、上流開発計画・経済性評価、下流(GTL)開発計画・経済性評価、マーケティング検討、及びインドネシアでのビジネスモデル検討を行いました。
 本スタディでは、あるガス田開発計画に5,000バレル/日規模のGTLを適用する場合、一定条件下でフィージブルになる結果を得ました。

2) イランRIPIのOCM触媒に対するプロセス開発技術協力プロジェクト
(平成14〜18年度)

  平成14年12月よりイランの石油産業研究所RIPIとメタンをエチレンに転換する酸化カップリング法(Oxidative Coupling of Methane; OCM)を用いたエチレン製造プロセスを共同開発しています。本プロジェクトでは、RIPIがOCM流動床触媒を開発し、JOGMECがOCM流動床反応器・天然ガスからエチレン製造までの全体プロセスの開発を行い、経済性を検討します。
 触媒開発と予備的プロセス検討を中心としたフェーズ1の技術協力が平成16年6月に終了し、平成17年4月より、ミニパイロットプラントを用いて開発した触媒を評価し、より精度の高いプロセス検討を行うフェーズ2の技術協力を実施しています。


(3)大型研究・特別研究(提案公募) GTL (平成15〜17年度)

2件のGTL関連研究を現在実施中です。

1)天然ガスを原料とする新規GTL用合成ガス製造プロセス(A-ATG(Advanced Auto Thermal Gasification)プロセス)の開発(平成15〜18年度)
 平成14〜15年度提案公募「天然ガスを原料とする新規高効率合成ガス製造システムの開発」のミゼット装置での研究結果を元に、高次脱硫触媒と改質触媒とを組み合わせ、バーナーを使用することなく、部分酸化反応と水蒸気改質反応を同時に進行させ、高圧下、さらには高酸素負荷下においても安全に合成ガスを製造できるシステムの構築を、パイロットプラントを通じて実証確認することを研究目標としています。
 平成15年度からGTL相当日産65バーレル規模のパイロットプラントの設計を開始し、平成16年度に建設が終了しました。

2)新規接触酸化法による天然ガスの高効率な改質技術の実用化研究
(平成16〜17年度)

接触酸化法を利用した大規模GTLプラントに適した合成ガス製造触媒改良及びプロセスの構築を研究目標としています。16年度は貴金属担持触媒の性能評価、高圧試験装置の製作・試験運転を実施しました。

(4) 大型研究・特別研究(提案公募) NGH
「天然ガスのハイドレート化輸送の技術開発」(平成13〜16年度)

JOGMECでは、ハイドレートの「高ガス包蔵性」、「生成条件が穏和」等の特性を生かした経済的な天然ガスの新たな輸送・貯蔵技術の確立を目指し、以下のような技術開発を支援しています。

・三菱重工業(株)は平成13〜平成16年度にかけて、大型研究として600kg/日規模の連続天然ガスハイドレート製造プロセスを完成させました。本方式はスラリー生成・脱水・冷却・脱圧を連続して行うもので、脱水率は20%程度のバルク状ハイドレートを製造することが出来ます。
ハイドレート生成装置
(三菱重工)
 
・三井造船(株)は、ハイドレートの生成-成型-再ガス化まで一貫して行うプロジェクト(プラント規模は600kg/日)をスタートさせていますが、平成16年度特別研究の成果として、保存率、ガス密度を向上すべく生成装置、成型装置の改良を行いました。
同社プロジェクトの特徴は成型の過程にてハイドレートを”ペレット”と呼ばれる球状にすることによって搬送時のハンドリング性の向上や、保存性の向上を実現できるところにあります。
ハイドレート製造プラント
(三井造船)
   
・慶應大学は、平成15〜16年度大型研究としてH型結晶構造の発現を利用した斬新なハイドレート製造方法に取り組みました。本研究内で同大学は対向噴流方式と呼ばれる方式で、添加剤と水をガス雰囲気下でジェット噴流により衝突させ、その飛散する水滴を起点としてハイドレートを生成させる方法を実証
対向噴流方式
 
(慶応大学)
 
・JFEエンジニアリング(株)は、平成14年度から革新的なハイドレート製造手法を開発してきました。本手法は三菱重工業(株)のスプレー方式や三井造船(株)の連続攪拌方式とは異なり、水が流れている管路に微細なメタン気泡を注入することで効率的にハイドレートを生成するものもので、現在実施している平成16-17年度特別研究の中で“長期連続安定運転”などの課題を解決し、同社が掲げている生成速度目標値、約8,000Kg/日(於:現状装置規模)が達成されればNGH-Chainの経済性に大きく貢献することになります。

ハイドレート生成装置
(JFEエンジニアリング)
 
   
各研究グループともエンジニアリング技術の開発と平行してハイドレートの基礎物性に関しても研究を進めており、課題であった混合ガスのハイドレート化や貯蔵に関しての知見も深まりつつあります。
 
 

(5) 大型研究・特別研究(提案公募) DME
「DMEの利用技術開発」(平成13〜18年度)

DMEは、LPGに類似した物性を持ち、容易に液化が可能なため、天然ガスのDME化による開発輸送手段が検討されています。利用時においては、DMEはセタン価が高いこと、その燃焼ガスは、製造過程で硫黄を除去するためSOxが発生しないこと、含酸素化合物であり浮遊粒子状物質を発生しないことから、クリーンエネルギーとしても注目されています。一方、DMEは、新しい化合物であることから、既存の利用機器をそのまま使用することができません。このようなことから、DMEの利用技術を開発することは、DMEによる天然ガス田開発を実現するための前提となっています。
本分野における主要な成果は、次の通りです。

1) 発電機器(ガスタービン)
熱効率99.9%以上で、低NOxを実現するガスタービンの高性能燃焼器を開発しました。実プラントへの利用が待たれます。

2) 燃焼機器(ディーゼルエンジン)
既存ディーゼルエンジンの燃料供給系・噴射系の一部を改造することにより、軽油並みの熱効率を達成し、排ガスのクリーンなDMEエンジンを開発しました。低公害のコージェネレーション用のエンジンとして実用化するためには、より長時間の耐久性試験で、性能を実証していく必要があります。

3)DMEディーゼル自動車
DMEを用いたディーゼル自動車及びDMEの供給スタンドを開発しました。これらの自動車とスタンドを用いてフリート試験を実施し、車及びスタンドの完成度を高めました。

 

4) 燃料電池改質システム
燃料電池が普及する将来をにらんで、DMEの水素供給源としての優れた性質(天然ガスやナフサ等の液体炭化水素燃料を使用した場合に比べて300℃以上低い改質温度)を利用して、水素を発生するDME改質システムの可能性を確認しました。改質システムとして、従来のものに比べて2分の1以下のコンパクト化を実現できる見込みです。さらに、オンボードタイプの燃料電池自動車に焦点を合わせた、DME改質システムの開発も実施しています。

5) 都市ガス代替
DMEからメタンを製造するSNG(Synthetic Natural Gas)製造システムを開発しました。都市ガスの高カロリー化の流れにおいてLNGの導入が困難な地方都市ガス事業者等への選択肢として期待できます。

 
以上

 

 
 
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